IMAXで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観るという至高のジゴワット体験【感想】

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「好きな映画は?」と聞かれたけど、いざ答えたら「あーそれ皆んな好きだよね」という微妙な反応が返ってくるから、あえて言わない映画ランキングTOP3に未だにランクインしているであろう『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。

もはや最近は、自信満々に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と答えれば、映画通に見える説も唱えられている気がするが、自己紹介がてらに答える映画としてはなんだかんだ最強ではないだろうか。

そんな話はさておいて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が公開40周年を迎え映画館に帰ってきた。しかも史上初のIMAXと4DXでの上映と聞けば、観に行かない理由はない。

筆者はIMAX版で鑑賞したが、リアルタイム世代と思しき観客から、部活終わりのZ世代まで、老若男女問わずビッシリと人が詰めかけていた。心なしか劇場内のボルテージも高く、ライブ会場でシングアロングしているかのような一体感すら感じられた。

物販コーナーでは40周年を記念したグッズが多数並び、中には即完した商品もあるほど。改めてファンの熱の高さが伺える。

ちなみに入場者特典として、IMAX版では「海外版IMAX限定ポスター(A3サイズ)」が、4DX版では「ミニステッカー」が、それぞれ数量限定で配布されている。どちらもカッコいい。

実は筆者は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を映画館で観るのは今回が初めてだった。よくよく思い返すと最後に観たのも4年以上も前なので、フレッシュな気分で鑑賞することが出来た。

鑑賞後、劇場を後にしてからは、純度100%の「面白かった」という感想以外に何も出てこなかった。文字通り、すべてが最高だった。

116分という時間の中で、中弛みする場面など微塵も無く、とにかく密度が高い。あまりにあっという間の映像体験だったので、終盤に差し掛かったタイミングでは「まだ終わるな!」と心の中で叫んでいた。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の魅力は、数多ある記事で語り尽くされていると思うが、個人的に良かったところを少し話せたらと思う。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

監督・共同脚本|ロバート・ゼメキス

主演|マイケル・J・フォックス


制作|ユニバーサル・ピクチャーズ
公開|1985年
上映時間|116分

配信サイト配信状況無料期間料金
Prime Video見放題初回30日間無料600円(税込)~
NETFLIX見放題なし890円(税込)~
U-NEXT見放題初回31日間無料2,189円(税込)
Hulu見放題なし1,026円(税込)
WOWOW
オンデマンド
見放題なし2,530円(税込)

※本ページの情報は2025年12月時点のものです。
最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。

味付けがとにかくポジティブ

改めて映画を観て気付いたのは、マーティが面倒なトラブルに翻弄される不憫な主人公ということ。

成り行きで博士にタイムマシンの実験に付き合わされたと思えば、30年も前の時代に飛ばされ、帰れる算段が立ったかと思えば、両親が結婚せずに自分が生まれない大ピンチに陥ったり、父親の同級生の不良集団がなにかと邪魔をしてきたりと、マーティ目線で考えれば過酷そのものだ。

しかし本作が素晴らしいのは、そんな苦しい状況も含め、一貫して軽快でユーモラスでポジティブな作風で描かれている点だ。

マーティは1985年から1955年に飛ばされる訳だが、元いた時代の彼を囲む環境は、決して恵まれているとは言えない。しかしマーティが過去に染まり、現実逃避をするような瞬間はまるで無い。一刻も早く元いた時代に戻り、「いつかやってみせるさ」と密かに抱く野望を叶えるべく、常に前向きな姿勢をとっているのだ。

よくある例で、コップの中に半分の水が入っていて、「残った半分の水を見る人」が楽観的で、「減った半分の水を考える人」が悲観的というものがあるが、マーティは明らかに前者であり「今を生きる」ことが出来る人間である。

そんな彼のポジティブな思考は観客にも伝播し、映画館を出る時の足取りはいくらか軽くなっているような気さえした。

この明るい作風は、80年代の空気感も影響しているだろうが、当時公開された他SF映画が『ブレードランナー』や『ターミネーター』など、ダークトーンな作品群だったことを考えると、本作のような後味が爽快なSF大作が意外にも貴重だったことも分かる。

ファッションセンスが最高

バック・トゥ・ザ・フューチャーを語るうえで、やはりファッションは欠かせない要素のひとつ。

主人公であるマーティの服装はあまりにアイコニックで、映画を観たことがない人でも認知しているレベルだろう。

ゲスのジーンズをハイウェストで履き、赤茶色のTシャツとチェックシャツをイン。その上からパッチワーク付きのデニムジャケットを羽織り、さらに象徴的なオレンジのダウンベストを重ねるという、マーティの言葉を借りれば”ヘビーな”レイヤードスタイルとなっている。

ダウンベストと言えば、今では定番中の定番アイテムだが、50年代を生きる人から見れば、救命胴衣を着ているようにしか見えないというカルチャーギャップが描かれていた。ということは、80年代では「何だそのファッション」と懐疑的に思っていた人も少なからずいたのだろう。ファッション的な観点から当時のアメリカを想像するのもなかなか面白い。

靴に関しては、マーティは状況に合わせて何種類か履きこなしているが、最も有名なのはNIKEの名作バスケットシューズであるBRUINだろう。発売は1972年ということで、既に50年以上の時が経っていることに驚くが、流行に囚われないクラシックなマーティのスタイルと非常にマッチしているスニーカーだ。

残念ながら現在は販売していないカラーリングで、最後に復刻されたのも2015年ということだが、このリバイバル熱を機に再び発売を待ち望んでいるファンも多いはず。

マーティのファッションもタイムレスでカッコいいのだが、今回劇場で観て思ったのは、マーティの父・ジョージのセンスもかなり良いのでは?ということ。

内気で存在感が薄いキャラクター故に、くすんだ色の服でコーディネートされているジョージだが、よく見るとその「いなたさ」がレトロ感を醸し出していてカッコいい。ネイビーのジャケットの下にさりげなく見える水色のオープンカラーシャツや、特にこだわりを感じさせない茶色の革靴もなんだか良い感じに見えてしまう。

50年代らしいサイドパート(横分け)の髪型も相まって、イカしてるなあと思ってしまった。

大画面で観るべき作品

大名作を、巨大スクリーンでクリアな映像と音響を体験できるIMAXで観れたことは本当に最高だった。同時に、この『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という作品は、IMAXでなくとも、臨場感が味わえる映画館で観るべき映画だと思ってしまった。

全く飽きない完璧な起承転結のある物語、超個性的なキャラクター、イカした音楽とファッション、何より非現実的でありながら、思わず少年心が動いてしまうタイムトラベルのワクワク感。これらを全身で浴びるには、映画館というフォーマットで観る以外の選択肢は考えられない。

公開40周年記念と言わず、このお祭りは毎年のように開催して欲しいし、PART2もPART3もIMAX・4DXでのリバイバル上映を期待してしまう。

もしまだ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を映画館で観たことがない方は、是非この機会に足を運んで欲しいし、もし本編をまだ観たことがない方がいれば、多くの映画ファンが羨む「初見が映画館」という贅沢な体験ができるので、今すぐにでも座席状況を確認してみてはいかがだろうか。

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