【感想&考察】LAZARUS ラザロ 第9話で最強のライバルが登場|ハプナ事件の黒幕は陸軍情報部なのか

公開日|2025年6月6日

*この記事には広告が含まれています

第8話の記事はこちら↑から読めます

*ネタバレが含まれております

物語が加速の兆しを見せてきた第9話。

サブタイトルは、伝説のロックバンド・Queenの、4枚目のアルバムに収録された楽曲『Death On Two Legs (Dedicated to…)』です。

© 1975 Queen Productions Ltd. / Published by EMI Music Publishing Ltd.

この曲の歌詞には、彼らの初代マネージャー、ノーマン・シェフィールドとの金銭トラブルが反映されており、彼への恨みを込めた強烈な罵詈雑言が随所に見られます。

曲調も、ショパンを彷彿とさせるクラシカルなピアノから始まり、突如として禍々しいギターサウンドが入り込むなど、その構成からもフレディの怒りが伝わってきます。

9話の内容と直接関係があるかは定かではないですが、「死が2足歩行で歩いてくる」というタイトルの不気味さは、新たに登場した殺し屋がアクセル達を脅かすであろうことを暗示しているようでした。

LAZARUS ラザロ

原作・監督|渡辺信一郎
アクション監修|チャド・スタエルスキ(87Eleven Action Design)
キャラクターデザイン|林明美


制作|MAPPA
放送|2025年4月〜
話数|全13話

LAZARUS ラザロ Vol.1(完全生産限定版) [Blu-ray]


HQと双竜

今回は、いきなりHQという謎の人物が、ピーター・ルーガー・ステーキハウスで、肉を食べている場面から始まりました。

ハプナ騒動が起きても、毎日のように通い詰めていたり、付け合わせなしの高級なステーキだけを食べ、それをタンパク質の摂取と言っていたことからも、只者では無い雰囲気を感じます。

©2024 The Cartoon Network, Inc. All Rights Reserved

そこからサブタイトルが出るまで、HQがニューヨークの都市を背景に、手前に歩いてくる長回しのワンカットがありましたが、これはアニメとしてはなかなかに挑戦的な演出で、個人的にかなり好みでした。

しかも、ただ歩くだけではなく、途中で銃乱射事件が起き、逃げ惑う市民が描かれていたりと、社会情勢を投影したようなシーンを挟むのは、渡辺信一郎監督にしかできない表現です。

混沌とした街中でも平然と歩くHQでしたが、どうやら彼の正体は、双竜という凄腕の殺し屋の代理人ということでした。

©2024 The Cartoon Network, Inc. All Rights Reserved

今回は、そんな双竜の実力を証明するためのテストが秘密裏に行われることになりましたが、彼の戦闘能力は圧倒的で、ワイヤーと短剣を使った暗殺スキルで、陸軍の特殊部隊を一瞬で壊滅させるほど。

9話にして異様な雰囲気を纏った新キャラが2名も登場しましたが、殺し屋の代理人であるHQがなぜか執拗に食事にこだわっていたり、双竜に会ったことがないという話を考えると、HQと双竜は同一人物と見て間違いないのではないでしょうか。

彼らは、今までの話に出てきたキャラクターの中でも間違いなく重要で、無双状態だったアクセルを脅かすような存在になる予感がします。


怪しすぎる陸軍情報部

ハプナ事件解決に奔走してきたラザロですが、外部の人間から見れば、その行動の数々はスキナー探しと関係が無いのではないかとのことで、ラザロ存続の可否を問う査問委員会が開かれていました。

物語が横道に逸れているのでは?という意見もある本作ですが、視聴者の声を予め予測していたかのような展開は、作り手の意図するところだったのかは気になります。

ただ筆者としては、ラザロはスキナーを探すという大きな軸を13話で描き出す、“点”ではなく“線”で構成された物語として楽しんでいるので、まだしっくりきていない方も、一気見をすれば印象が変わるのかなと思いました。

結局、人類で足の引っ張り合いばかりせずに、私を早く見つけろという内容の、新たなスキナーの声明動画が公開され、ラザロは解体の危機を免れました。

©2024 The Cartoon Network, Inc. All Rights Reserved

ここで気になったのは、執拗なまでにラザロを不利な状況に持ち込もうとした、陸軍情報部の存在。

リーランドに内偵をさせたり、アクセルの過去を暴こうとしたり、ハプナ事件の解決よりも、優先している何かがあるように思えました。

物語ラストでは、双竜にアクセルの暗殺を依頼しているので、彼が生きていること自体が、陸軍情報部にとって不都合なようです。

ここから考えられるのは、ハプナ事件の黒幕が陸軍情報部で、その計画にアクセルが絡んでいたという説。

スキナー探しが難航している中で、組織同士のアクセルを巡る情報戦も組み込まれ、物語はより複雑化した印象を受けました。


謎の薬とリーランドの過去

前々から重要な伏線と思われた、クリスがスキナーの自宅で見つけた錠剤が久々に登場しました。

今になってその錠剤が出てきた理由は、彼女がポケットに入れたことを忘れていたというものでしたが、元工作員という経歴を持つクリスが、そんな初歩的なミスをするのは少し頂けないと感じました。

錠剤には数字の5が印字されていましたが、これが特効薬という可能性もありそうですし、次回以降に鑑定の結果が判明しそうです。

また、今回はリーランドにスパイ疑惑がかかっていましたが、査問委員会での彼の発言は、ラザロを明らかに貶めるような内容ではありませんでした。

©2024 The Cartoon Network, Inc. All Rights Reserved

しかし、リーランドがアジトに帰ってきた際の、ラザロメンバーたちを見る目はどこか虚ろで、まだ隠している事がありそうな様子。

彼の父親が、ラザロを創設したアベルの親友という話が出てきたことや、そもそも何故ラザロに加入することになったのかという疑問も残っているので、今後はリーランドの過去も明かされることになりそうです。

陸軍情報部とも面識はあったようですし、何らかの取引があったということも考えられそうですよね。

最強クラスの新キャラと組織の駆け引きが加わったことで、物語がどのような着地を見せるのか楽しみな9話でした。


渡辺作品のファン必読の2冊

洗練された唯一無二のアニメーションで、国内外に多くの熱狂的なファンを獲得し続けている渡辺信一郎監督ですが、その半生の振り返りや濃密なインタビューが載ったファン必読の2冊が発売されるということで、気になった方はそちらも是非チェックしてみてください。

※ちなみに筆者は、先日発売された「別冊ele-king 渡辺信一郎のめくるめく世界 (ele-king books)」を読破しましたが、渡辺作品のファンなら堪らない、音楽についての濃密な話も掲載されていて、かなり読み応えがあり楽しめました。

別冊ele-king 渡辺信一郎のめくるめく世界 (ele-king books)

渡辺信一郎の世界 『カウボーイビバップ』から『LAZARUS ラザロ』まで (KADOKAWA)