
【感想&考察】LAZARUS ラザロ 第6話から読み解くスキナーの居場所|AIと宗教をアニメに落とし込む異色回
公開日|2025年5月17日
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前回に引き続き、今回もアニメ「LAZARUS ラザロ」第6話の感想と考察を書いていきます。
第6話 『HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』
時の流れは早いもので、物語は折り返し地点までやってきました。
第6話のサブタイトルは、80年代を代表するベリンダ・カーライルのポップソング『HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』です。
超が付くほどの大名曲で、曲名は知らなくても1度はTV番組などで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
直訳すると「この地球に天国はある」という意味になりますが、人類が地球から滅亡しそうな世界観のアニメでこのタイトルが使われているのは、皮肉が効いていて面白いです。
キャッチーさに加えて、力強いロックも感じる素晴らしい楽曲ですが、渡辺信一郎監督が王道のチョイスをするのは少し意外に思いました。
LAZARUS ラザロ

原作・監督|渡辺信一郎
制作|MAPPA
放送|2025年4月〜
話数|全13話
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宗教とエレイナの過去
*ネタバレが含まれております
第6話は前回に引き続きのお話ではなく、新たに掴んだ情報をもとにスキナー探しを進めていくスタイルとなりました。
かつてスキナー博士が訪れたコミューンが今は新興宗教として活動をしており、その場所が彼の隠れ蓑になっているかもしれないという推測から潜入任務を行うことになります。
住人達が信仰している神はナーガと呼ばれるAIで、実はエレイナもそのコミューンで暮らしていたことが明かされました。
洋画でもあまり見たことがないAI×宗教という組み合わせをアニメーションに組み込んでいたのは斬新で面白かったです。

コミューンのデザインもミッドサマー感が満載と言われていましたが、よく見ると近未来的な要素も随所に施されていたり、デザインワークも相変わらず洗練されていました。
潜入は、大人が行くと怪しまれるという理由から、消去法的にリーランドがエレイナとバディを組むことに。
里帰りとなったエレイナたちを暖かく迎える彼女の母親や友達でしたが、リーランドの目にはどこかぎこちないやり取りに映っていました。
実はコミューンの中では全員が家族という認識なので、実の母親であっても親しい呼び方をしてはいけないルールが存在し、加えてエレイナの母親は娘への関心が薄く、AIのナーガに深くのめり込んでいるとのこと。
少し落ち込んだ様子で自身の過去を語るエレイナに、どう声をかければ良いか悩むリーランドが印象的でした。

彼自身も10代でラザロに参加したことを考えると、同じく家族関係が複雑だったのかもしれません。
でもそんな心細いであろう2人をクリスが「大丈夫かな」と心配していたのは、ラザロとして仲間意識が芽生えていることが分かるシーンになっていて良かったですね。
神になれなかったAI
クリスが「なんか胡散臭い」と言っていたナーガですが、その正体はスキナーの脳神経をモデルにし、支配欲と承認欲求をプログラムしたAIであるとダグが突き止めます。
しかも教祖のビリーは、かつてMITにいた頃、ナーガに傾倒するあまりに無断でそれを持ち出し、今のカルト宗教を作ったと判明。

人類を滅ぼそうとしたスキナーの脳にシンパシーを感じる教祖という「混ぜるな危険」の組み合わせですが、信者たちにナーガを疑う素振りは一切ありません。
そんな情報を知らないエレイナとリーランドは、コミューンでスキナーの気配が全く感じられないため、やむを得ずナーガに直接アクセスを試みます。
しかし、すぐに教祖ビリーに見つかってしまい、地下牢に閉じ込められてしまいます。
このとき、密告したであろうエレイナの友達ハンナが2人のもとを訪れますが、これから彼らがこの世の穢れとして生きたまま燃やされ、その後コミューンの信者全員で命を断つ「聖祭」の計画を知らされます。
ただ、ハンナは盲目的な信者ではなく、実はAIの神様を信仰することの疑念と、外の世界へ旅立っていったエレイナに対しての嫉妬を吐露します。
コミューンの外は悪だという大人たちの考え、そしてナーガの言うことは絶対という教えを刷り込まれたハンナにとって、1歩を踏み出すことの怖さが伝わるシーンになっていました。

ついに聖祭の時を迎え、燃やされそうになる2人でしたが、ハンナは牢屋で命の在り方について彼らに説得されたことで、リーランドが持っていた緊急時の発煙筒を投げ、間一髪のところで助かります。
ただこのシーンは、ハンナの葛藤からの決断のテンポが良すぎて、少し置いていかれてしまいました。
2話分のボリュームを1話にまとめたという話もあったので、こればかりは仕方ないのかもしれません。
信者たちは自身の命を捧げようとしたところに、団体を調査していたFBIの介入によって救われる形となりました。
負傷して運ばれていく母親をエレイナが見ていましたが、決別の表情をしていたのが印象的でした。母親がエレイナが燃やされる直前に笑顔を浮かべていたことからも、いかにナーガを盲信していたかがよく分かります。
結局ナーガは信者に何も語ることはありませんでしたが、瓦礫の山の中でアクセルに、人の命を弄ぶのが神だと思うが、自分は神たりえていたかと問いかけていました。

ハプナ事件を起こしてもなお、自身を神とは思っていないと言っていたスキナーとは対照的にも思えますが、そんなナーガにアクセルは「ただのイカれた機会」と吐き捨てて現場を去りました。
スキナーの脳は一歩間違えるとこんなにも傲慢になるのか思いましたが、人の命を軽んじる思想はスキナーというより、AIに支配欲と承認欲求を持たせたことが原因だとしか思えません。
スキナーが単純な殺戮思想だけを持っているなら、わざわざ人類救済のためのワクチンを用意する必要もないのではと考えてしまいました。
謎の文字とスキナーの居場所
ナーガのメモリを持ち帰ったラザロメンバー。
復旧をする中で、ラストでは意味深な「43NF」の文字列が浮かび上がっていましたが、これが何を示しているのか非常に気になるところです。

座標であればスキナーの居場所という見方ができますが、Fの文字だけが点滅していることも何か関係があるのでしょうか。
結局スキナーの居場所はどこなのかと考えた時に、前回の記事でも少し触れましたが、本作の「目」にまつわる印象的なシーンがヒントになる気がします。
第6話では開眼した目の塔が立っていたり、アバンで星が映し出された目の描写があったりと、何かの出来事から目を逸らしてはいけないというメッセージにも受け取れますよね。
ただ、本作ではハプナ事件によって世界が危機的な状況の中、人々は楽観的としか思えない行動を続けています。
第4話でハプナによって大金を得た投資家のサムが、誰かが何とかすると言っていたり、人類滅亡寸前の中でもどこか他人事です。
これはスキナーが国連で環境危機を訴えていた頃と何ら変わった様子はなく、現実を見ようとはしません。
そんな人類に対して3年前の段階で辟易してしまったスキナーは一体どこに隠れているのでしょうか。
筆者としては、第3話で登場した彼そっくりの盲目のホームレスが、本物のスキナーである可能性がどうしても捨てきれません。
というのも、その男がいたホームレス地区を仕切るジルという女性が、この地区では「過去を掘り返したり引っ張り出したりしないのが礼儀」と話していたからです。
だからスキナーは、自分のことを誰も詮索しないであろうホームレス地区に住み、現実を見ようとしない人間たちや現実そのものから目を逸したいと思った。
盲目になった理由は見当がつきませんが、世間の目から自分を隠せるというメリットと、どの場所よりもリアルな生活を営む人たちに、何か希望を見出している可能性もありそうです。
今後も「目」の描写が出てきたら注目していきたいと思います。
渡辺作品のファン必読の2冊
洗練された唯一無二のアニメーションで、国内外に多くの熱狂的なファンを獲得し続けている渡辺信一郎監督ですが、その半生の振り返りや濃密なインタビューが載ったファン必読の2冊が発売されるということで、気になった方はそちらも是非チェックしてみてください。
ラザロが好きな人におすすめのアニメ
残響のテロル

音楽|菅野よう子
製作|MAPPA
放送|2014年7月〜9月
話数|全11話
あらすじ
ある暑い夏の日。元警視庁捜査一課の刑事、柴崎は、左遷された文書課で漫然とした日々を送っていた。しかし、柴崎は、同僚が観ていた動画投稿サイトに挙げられた、スピンクス1号・2号と名乗る人物たちの「新宿方面ではところによりでっかい花火があがるでしょう」という犯行声明じみた動画に何か不穏な気配を感じていた。そして、突如起こった、都庁での大規模爆破テロ。日本を震撼させたこの事件の犯人は、たったふたりの少年だった。そして、スピンクス1号・2号は新たな動画を公開し、なぞなぞに答えられなければ爆破をするという挑戦的な犯行声明を出す。スピンクスの目的は一体何なのか、柴崎は事件の解明のために奔走するが、それは、やがて国家を揺るがす闇へと繋がることになり、、、。
ラザロが好きな方におすすめする作品は、アニメ「残響のテロル」です。
同じく、フジテレビのノイタミナで放送されたアニメで、キャッチコピーに「この世界に、引き金をひけ。」とあるように、少年たちがテロを起こすという過激な内容で話題になりましたが、繊細で緻密なストーリーは圧巻の一言。
シネドリップでは考察記事も投稿しておりますので、気になった方はこちらからご覧ください。
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