非凡は平凡を選ばない アニメ「小市民シリーズ」16話『真夏の夜』感想|秋期限定栗きんとん事件

公開日|2025年5月15日

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今回は、直木賞作家の米澤穂信先生の原作で、2025年春より放送中のアニメ「小市民シリーズ」第2期の16話を見ての感想を書いていきます。

1期についての記事はこちら↑から読めます

小市民シリーズ 第2期

原作|米澤穂信
『秋期限定栗きんとん事件』
『冬期限定ボンボンショコラ事件』
(創元推理文庫 刊)

監督|神戸 守
制作|ラパントラック
放送|2025年4月〜

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*ネタバレが含まれております

狐と狼の再会

ついにファイヤーマン事件も終盤に突入しました。

今日こそ捕まえようと意気込む新聞部の陰で、いろいろと策を練っていた小鳩くんは、健吾から火災発生の連絡を受けてすぐに現場に駆けつけます。

消防署に連絡を済ませた後に現場を確認すると、火のそばの小屋に灯油ポリタンクが置いてあるという、かなり危険な状態。

鍵のついた扉をなかなか開けることができない小鳩くんでしたが、ここで柄の長いハンマーを持った小佐内さんが現れ、灯油ポリタンクを取り出すために小屋を壊し始めます。

アニメとしては第10話以来、物語としては1年ぶりの再会が火災現場という、ロマンチックとは程遠いシチュエーションですが、2人はあの頃と変わらない様子で楽しそうに笑っていました。

©米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会

危機的な状況の中で、ウキウキでハンマーを振りかざす女子高校生とそれを見て笑う男子高校生は、狂気以外の何者でもないはずですが、何故か美しい光景だと思ってしまったのは筆者だけでしょうか(笑)。

無事に灯油ポリタンクを取り出した後、燃え盛る小屋の前で、小鳩くんが小佐内さんの身長が伸びたこことに気付く場面も、異様な空気感が出ていました。

ただ、元彼女の仲丸さんの些細な言動や変化に全く気付かなかった小鳩くんが、小佐内さんに対してだけ興味を惹かれている事が分かり、互恵関係を解消した2人がまた元に戻ることを示唆しているようにも思えました。


やっぱり怖いよ小佐内さん

ファイヤーマンを自らの手で捕まえるべく奔走していた新聞部部長の瓜野くん。

彼は小佐内さんを一連の放火の犯人だという確固たる証拠を携え、火災現場で小鳩くんと一緒にいた彼女を見つけると、そのまま公園まで追いかけます。

瓜野くんは今まで小佐内さんに感じた不自然な点と、ファイヤーマン事件に関連性を持たせ、推理を披露することに。

©米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会

小佐内さんの放火があるのは金曜だと知っていたような口ぶり、彼女が本に挟んだレシートが犯行現場近くの書店で購入されたことを示すものだったこと、電話口で電車の音がしていたこと、船高園芸部で盗まれたハンマーの件、これらすべてを根拠として提示します。

しかし、これはまったくの見当違いの推理でした。

実は小佐内さんは、瓜野くんがファイヤーマン事件を解決することができるよう、陰で動いていただけとのこと。

健吾に頼み事をしていたことや、月報船戸にコラム欄ができたのも、彼女が根回しをしたからで、今までそれを隠していたのは瓜野くんのプライドを傷つけたくなかったから。

さらに小佐内さんは瓜野くんに対して、聡明さの欠如、人を動かす新聞部部長としての振る舞い、猜疑心のなさなど、推理をする者としての問題点を挙げていきます。

美味しくないスイーツを作った人の目の前で、どうしてこんなに美味しくないのかを淡々とレビューしていくような怖さ。指摘するうちにどんどん楽しそうな表情になっていくのは、どんなに可愛くても身の毛がよだつかもしれません。

©米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会

小佐内さんによるトドメの一撃は、瓜野くんの唯一良かった点と称しながらも、自分の手でファイヤーマンを捕まえるなら被害が出ても良いと思っていた無神経さだと言います。

そして「ご馳走様でした」と言わんばかりに、実はそもそもその程度の推理しか出来ないと思ってました、という完全に心を折る一言を添え、瓜野くんを再起不能にさせました。

偶然や幸運ではなく、ただ小佐内さんの手のひらで踊らされていたのは居た堪れない上に、そんな会話の中で本当のファイヤーマンが捕まったメッセージを見る瓜野くんの表情は、あまりにも悲痛でした。


非小市民はどこへ向かうのか

尺のほぼ全てがヒロインによる精神攻撃となった第16話ですが、結局小佐内さんという人間に異常なほどの魅力が詰まっているせいで、終始目を見張ってしまいました。

そんな小佐内さんは、何者かになろうともがいた瓜野くんの事を「ただの小市民」だと自覚させる発言をしていましたが、そんな彼女は逆に小市民になろうとするものの、その枠に収まることが出来なかった人間。

彼女と久々の再会を果たした小鳩くんも、健吾との電話の中で、「お前は結局小市民じゃないんだよ」と本質を突く言葉を投げかけられました。

©米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会

紆余曲折ありましたが、結局のところ、「非小市民」である彼らの唯一無二の理解者は、お互いだけだったと分かったのではないでしょうか。

小市民であろうとした非小市民たちは、今後再び関係値を築き上げていけるのか気になるところです。

さらにファイヤーマンの正体も明かされることになりそうですが、やはり瓜野くんの新聞部としての活動に固執していた”彼”が犯人なのでしょうか。

小鳩くんも事件解明のために、新聞部の五日市くんに健吾を通して何か頼み事をしていましたが、その種明かしも楽しみです。


書籍情報

著者|米澤穂信
『秋期限定栗きんとん事件 上』
(創元推理文庫 刊)