
【神回】アニメ「小市民シリーズ」17話『ふたたびの秋』感想|事件の真相と遠回りな告白と復讐の後味
公開日|2025年5月19日
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今回は、直木賞作家の米澤穂信先生の原作で、2025年春より放送中のアニメ「小市民シリーズ」第2期の17話『ふたたびの秋』の感想を書いていきます。未視聴の方は、ネタバレを含む可能性がございますのでご注意ください。
小市民シリーズ 第2期

原作|米澤穂信
『秋期限定栗きんとん事件』
『冬期限定ボンボンショコラ事件』
(創元推理文庫 刊)
監督|神戸 守
制作|ラパントラック
放送|2025年4月〜
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第17話 『ふたたびの秋』
*ネタバレが含まれております
小鳩くんの種明かし
小佐内さんによって、推理をする者としてのプライドを粉々にされ、挙げ句、彼女から事実上フラれてしまい、その場を去った瓜野くん。
第17話では、小鳩くんが瓜野くんに代わる形で放火事件の推理と、裏で仕掛けていた細工を披露することになりました。
まず、一連の放火事件は、消防署の防災計画に記されてある、消防分署の管轄区域の逆順に行われているという瓜野くんの説がありましたが、その管轄が記載されているのは6年前の防災計画だけ。
しかし、それほど限定的な情報を犯人が手に入れるのは不可能に近いはず。
ならば犯人は、瓜野くんが月報船戸に載せた犯行予想を見て、それをなぞるように放火をしていた説、つまり、船高の生徒の中にファイヤーマンがいると小鳩くんは推測します。

この時点で瓜野くんよりも1歩先の推理をする小鳩くんですが、彼は犯人を絞り込むために新聞部の五日市くんに協力を促し、コラムにある細工を施しました。
それは犯行現場の予想をクラスごとに書き換えて配り、放火が起きればその犯人のクラスを特定できるというものでした。
絞り込んだのは瓜野くんのいるクラス。さらに小鳩くんは、最初に放火の記事が載った頃の月報船戸は校内で注目を集めていなかったのに、それを元に犯行が行われたことから、放火犯は事前に記事が載ることを知っており、瓜野くんと親しい人物だと見事な推理を披露します。
放火事件の犯人、つまりファイヤーマンの正体は、瓜野くんのクラスメイトの氷谷くんでした。
事件の発端となった河川敷で燃えていた車が、小佐内さんの拉致に使われたものだったので、何かしら関係があるかと思いましたが、これはただの偶然とのこと。
どちらかと言えば小佐内さんは、新聞部の目が届かない現場を予想して張り込んでいたので、事件の解決には協力的だった様子。
この小佐内さんの行動を謎に見せるようなミスリードがとても上手く、犯人の氷谷くんに注目させないような構成が素晴らしかったです。

肝心の氷谷くんの動機ですが、どうやら日頃の鬱憤を晴らすために放火をしたとのこと。
しかも、クラスメイトの瓜野くんが事件の予想を始めたので、それになぞるように犯行を続け、推理が当たったと勘違いして喜ぶ彼を見るのが、氷谷くんの楽しみだったようです。
今回、氷谷くんの姿がないことで、第3者視点により決して擁護できない彼の人間性が露わになってしまいましたが、健吾は「人間関係が希薄になる中で、こういう形でしか繋がりを求められない」と言っていたのが印象的でした。
もしかしなくても、「小市民シリーズ」で最も人情に厚いキャラクターは、健吾かもしれません。
遠回りの告白
事件がひと段落ついたところで、2人はお互いの空白の1年、主に恋愛について語り合います。
この時、小佐内さんの方から小鳩くんに仲丸さんとの関係について聞いていましたが、彼女の口から仲丸さんの名前が出たのは、互恵関係を解消してもずっと小鳩くんを気にしていたことの表れにも思えました。

小鳩くんは、仲丸さんに本命の彼氏がいると知ったのに、彼女に一切の関心を見せなかったことが原因で、別れを切り出されたことを話します。
一方で、怖い1面ばかりに目がいってしまう小佐内さんですが、実は彼女が瓜野くんと付き合ったのは、告白をされて嬉しかったのと、恋とはどんなものか知りたかったという、何とも女子高生らしいピュアな理由からでした。
ただ、付き合い始めても小佐内さんの気持ちは動くことはなく、結局瓜野くんは「他愛ない」人だったと言います。
取るに足らない彼氏の行動を間近で見続けた小佐内さんは、「もし小鳩くんならもう少し上手にやるのに」と思っていたそうです。
実は小鳩くんが推理を話すことを躊躇した際に、小佐内さんが「教えて」「話して、お願い、今日でぜんぶ済ませたいから」と、普段の声色よりも語気が強くなっていたのは、小鳩くんが自分の見込み通りの人間かどうか確かめたい、という気持ちの表れだったのではないでしょうか。
実際小鳩くんが見事な推理を見せたことで、再び一緒になりたいと思ったのかもしれません。
小鳩くんもそんな推理をさせてくれた小佐内さんへの気持ちが溢れ、「体温が上がるよ」と、かつて仲丸さんが恋愛を形容した時の表現を用いていたのは印象的でした。
例え上手くいかなくても、恋愛関係を経て学んだことを生かしていましたね。
小佐内さんにとって小鳩くんは、白馬の王子様が来るまでの次善だと遠回しな表現をしていましたが、それは今目の前にいる人が最善だという裏返し。
小鳩くんはそれに対して、「僕にとって小佐内さんは必要だと思う」という、思ったよりも男前な告白をしていましたが、しばらくそっぽを向いた小佐内さんを見ると満更でもないのかもしれません。
どこまでも遠回りする彼らの告白シーンは、どことなく文学性を感じ、「小市民シリーズ」屈指の名シーンになったのではないでしょうか。
気の毒すぎる瓜野くん
氷谷くんの騙されながら推理をした挙げ句、小佐内さんに振られ、部下だと思っていた五日市くんにほとんど名指しのような形で批判記事を書かれるという、散々な結末を迎えてしまった瓜野くん。
ただ、瓜野くんが連続放火事件を追いすぎるあまり、新聞部としての基本的な活動を疎かにしていたらしく、それで五日市くんに大きな負担があったことを考えると、瓜野くんの自業自得的な部分も少なからずある気がします。
それでも、全体を通して見ると、瓜野くんは可哀想と言わざるを得ません。
場面は和風喫茶に移り、久しぶりに放課後デートを楽しむ非小市民の2人でしたが、小鳩くんが小佐内さんの放火事件における引っかかる点について話し始めます。
実は小佐内さんは自分が放火犯だと疑われるようにわざと証拠を残すような行動をすることで、瓜野くんに間違った推理をさせ、彼の心を折る復讐をしたのではないかという推理。
これがまた見事に当たってしまうんですよね(笑)。
その理由は、瓜野くんが小佐内さんに「勝手にキスしようとした」からでした。
テキストだけの演出が、彼女の怒りを倍増させていて、怖さを感じてしまいました。

もしかしたら、小佐内さんは瓜野くんに舐められていると感じた。だからあの時、レシートをわざと落として、瓜野くんは私に見下ろされる立場だとわからせようとしたのかもしれません。
小佐内さんの復讐の定義は「相手に敗北感を植え付けて、行動が愚かだったと思わせて、自分の無力を心から信じるようにする」こと。
普通の女子高生かと思う時もありますが、やっぱり小佐内さんは怖すぎます。
ちなみに喫茶店で話していたマロングラッセと栗きんとんの作り方の話は印象的でしたね。
砂糖によって栗自体を甘くしてしまうマロングラッセと、栗本来の良さを活かしきる栗きんとん。
小市民と非小市民の喩えにもなったような鮮やかなタイトル回収で、筆者的神回でした。
非小市民たちは次の事件へ
これにて『秋期限定栗きんとん事件』は終わりを迎え、次回からは『冬期限定ボンボンショコラ事件』が始まります。
PVでは、小鳩くんが車の事故に巻き込まれたり、過去を回想するようなシーンもありましたが、彼が小市民になろうとしたきっかけも描かれるのでしょうか。
物語ももちろん楽しみで仕方ないですが、またまた小佐内さんの怖い一面も見ることになるのかと考えると、彼女からも目が離せません。