韓国映画 パク・チャヌク監督 お嬢さん(The Handmaiden) レビュー
Contents
あらすじ
厳格な家庭で育った貴族のお嬢さん。ある日、彼女の元に新たなメイドが現れた。しかし、そのメイドは有名な泥棒の娘として育った孤児の少女であった。膨大な資産を相続されるお嬢さんを誘惑し、お金を横取りしようとする詐欺師の提案を引き受けた。少女はお嬢さんと詐欺師の恋を手伝うためにメイドとなったのだ。しかし、メイドはお嬢さんと惹かれあってしまう。お互いがお金と心を奪うために、騙しあう魅惑的な話の結末は?
「お嬢さん」の監督・主要キャスト
監督 パク・チャヌク
パク・チャヌク監督は、映画「オールド・ボーイ」が世界的にとても有名です。「オールド・ボーイ」ではカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞しています。彼の映画を一言で表すとしたら、「狂気、エロス、復讐」という言葉がぴったりではないのでしょうか。彼の代表作としては、上記の「オールド・ボーイ」、「復讐者に哀れみを」、「親切なクムジャさん」があります。パク・チャヌク監督の独特なスリリングな空気感が好きな方は要チェックです!
お嬢さん役(ヒデコ) キム・ミニ
キム・ミニは、「夜の浜辺でひとり」「クレアのカメラ」「それから」に出演し、第67回ベルリン国際映画祭主演女優にもなり、映画での演技が高く評価されている女優です。これらの作品の監督である、ホン・サンス監督のミューズとしても有名です。
キム・ミニは映画「お嬢さん」における、メイド役のキム・テリとのベットシーンがとても話題になりました。彼女の独特な雰囲気で同性をも魅了してしまう演技に注目です。
スクヒ役 キム・テリ
キム・テリはスクヒ役のオーディション参加者約1500人の中から選ばれた1人です。彼女は本映画で新人賞を受賞し、大スターとなりました。純粋無垢な少女スクヒの演技がとても愛おしく、うっとりしてしまいます。筆者はこの作品を通して、キム・テリの魅力にどっぷり慕ってしまい、彼女の出演したドラマは欠かさずチェックするようになりました!
藤原伯爵役(詐欺師) ハ・ジョンウ
ハ・ジョンウは、映画「チェイサー」で知った方も多いのではないでしょうか。劇中では、お金が目的であり、女はそのための手段として扱う詐欺師を演じています。変態的な要素もとても多い役であり、残酷なシーンもありますが、彼の名演技にも注目です。
ヒデコ(キム・ミニ)の劇中衣装
衣装監督はチョ・サンギョンです。彼女は、「オールド・ボーイ」以降、パク・チャヌク監督とタックを組んでいます。
1部では、ヒデコのか弱さを表現するため、アイボリーのブラウスなど落ち着いたシンプルな服装が目立ちます。
しかし、2部と3部ではヒデコの秘めた多くの面を表現するために、彩度の高い着物や浴衣を着用し、ヒデコの感情を表現してます。
チョ・サンギョン監督はインタビューで、「お嬢さんの衣装は、デザインはもちろん、色から素材まで一着一着悩みながら完成した。手袋やコルセット、靴下まで簡単に選んだものは一つも無かった。」と言っています。
日本の時代劇とは、一味違う、浴衣や着物の色合いの美しさに見惚れてしまいます。ヒデコのドレスにもぜひ目を向けてみてください!
お嬢さん(The Handmaiden)の原作
この映画の原作はサラ・ウォーターズの小説「finger smith」です。BBCでもドラマとして放送され、とても有名です。
小説では、19世紀のビクトリア朝が背景でしたが、映画では1930年代の日本統治時代の朝鮮を舞台としています。映画の3部構成のうちの、1部は小説と類似していますが、2部と3部は映画オリジナル要素も含まれた内容となっています。
脚本家のチョン・ソギョンはパク・チャヌク監督から、この小説を映画にしてみないかという提案を受けた際に、小説があまりにも面白いため、一度依頼を断ったのだそうです。その後に、パク・チャヌク監督から、小説と違う結末にして作るのはどうかという依頼を再度受け、映画を制作するようになったようです。
映画を見て気になった方は、原作の小説も読んでみてはいかがでしょうか?
お嬢さん(The Handmaiden) のまとめ
映画は3部構成になっています。各部でのどんでん返しに目を離すことが出来ません。各シーンでの伏線を拾いながら見ると、より映画を楽しめるのではないかと思います。
個人的には、スクヒがお嬢さんの服を着て、それを見たお嬢さんが、「あなたもそうやって着てると、お嬢さんみたいね」というシーンの伏線がたまらないです。みなさんも、この伏線の意味をぜひ映画で確認してみてくださいね。
さらに、スクヒとお嬢さんのベットシーンは本当に圧巻です。主要キャラクター達の変態ちっくな演技は面白いながらも、真面目で、ついついのめりいってします。
そして、映画の大部分が日本語のセリフであり、日本的な要素を多く含んでいるため、韓国映画を初めて見る方でも気楽に見ていただけると思います。この機会に、ぜひご覧になって見てはどうでしょうか?